緊張したとき、みぞおちがギューッと締めつけられるような感覚、経験したことはありませんか?
あの独特な不快感は、決して「気のせい」ではなく、心と体が深くつながっていることの証です。
たとえば、「胃がキリキリ痛むほど悩む」「プレゼンの前はお腹が痛くなる」「怒りを飲み込んで胃が重たくなる」…。
これらはすべて、“感情”という目に見えないエネルギーが、体にしっかりと影響を与えているサイン。
「心が感じたこと」は、必ず「体」に伝わる。
そして、「体が緊張しているとき」、それはまた「心」にも波紋を広げていきます。
中でも、私たちの“感情の震え”がダイレクトに現れる場所が、みぞおち=太陽神経叢(たいようしんけいそう)です。
みぞおちに重さや痛み、ギュッとした締めつけを感じるのは、ただの「胃の不調」ではなく、心が「わたしを守って」と訴えているサインかもしれません。
このエリアにそっと意識を向け、香りや呼吸でやさしくゆるめていくことは、“自分の真ん中”を取り戻し、心と体の両方を癒していく第一歩になるのです。
太陽神経叢とは?
太陽神経叢(たいようしんけいそう)は、おへその少し上、みぞおちの奥に位置する自律神経の大きな中枢のひとつです。
ここは交感神経と副交感神経が密集し、胃・肝臓・腸・膵臓・腎臓・副腎など生命活動に直結する臓器と密接につながっている重要な神経のハブのような場所です。
太陽のようにエネルギーを放つイメージから「太陽神経叢」と名付けられたとも言われ、肉体面だけでなく、感情やエネルギー(気)とも深く関係している場所でもあります。

特にみぞおちは、緊張・不安・怒り・恐れといった感情がたまりやすく、私たちが無意識に力を入れたり、呼吸が浅くなったりする場所。
東洋医学でも“気が滞る”場所として意識されてきました。
そして、この太陽神経叢は「第3チャクラ(マニプラチャクラ)」とも対応しており、“自分らしく生きる力”や“自己肯定感”とも関わるエネルギーセンターとされています。
自信がなくなると萎縮したり、逆に過剰な自己防衛や怒りとなって表れたり…というように、エネルギーの乱れが心身の不調につながるポイントでもあるのです。
心と体、そして「わたし自身の存在」を支えるこの場所を、優しく整えることが、深い癒しや再生のきっかけになります。
緊張するとみぞおちがギュッとする理由
私たちは緊張や不安を感じたとき、「みぞおちがギューっとする」「お腹のあたりが固まる」といった感覚を覚えることがありますよね。
これは、ただの“気のせい”ではなく、実際に体内で起こっている神経反応と筋緊張の変化によるものです。
その理由のひとつが、自律神経の中枢である太陽神経叢が、みぞおちの奥に位置しているから。
不安やストレスを感じると、交感神経(戦うか逃げるかのスイッチ)が優位になり、その影響が太陽神経叢を通じて、胃腸や横隔膜、腹筋群に伝わり、内臓周辺がキュッと縮こまるような反応を引き起こします。
これが「みぞおちの締めつけ感」「胃の不快感」として体感されるのです。
また、みぞおち周辺には「感情の震源地」とも言える神経終末が集中していて、特に怒りや恐怖といった感情エネルギーが蓄積しやすいエリア。
だからこそ、感情が高ぶったり、言いたいことを飲み込んだり、プレッシャーを感じたりすると、この部分がギュッと反応してしまうのです。
さらに、ここは「呼吸」とも深く関係する場所。
ストレス下では自然と呼吸が浅くなり、横隔膜の動きが小さくなります。
すると、内臓のマッサージ作用も弱まり、余計に重苦しさや停滞感を感じやすくなるのです。
つまり、「みぞおちがギューっとなる感覚」は、心(感情)・神経(自律神経)・体(筋肉や内臓)のつながりが、リアルに表れている反応。
このサインに気づけたら、ただ我慢するのではなく、香りを使ってゆるめたり、呼吸を深めたりして、“自分の真ん中”を労わってあげるタイミングかもしれません。
太陽神経叢と関係する臓器
太陽神経叢(たいようしんけいそう)は、胸とお腹のちょうど中間、みぞおちの奥の深い場所に位置していて、まるで体の中心にある“神経のハブ”のような役割をしています。
ここには交感神経・副交感神経が集まり、全身のバランスを保っている自律神経の中枢ともいえる場所。そして、その神経のネットワークは、以下のような重要な臓器とつながっています。
【胃】
太陽神経叢のすぐそばにあり、ストレスの影響を最も受けやすい臓器。
緊張すると「胃が痛い」「ムカムカする」と感じるのは、交感神経が優位になり、胃の働きが一時的に抑制されるため。
この反応は“危機から逃れるために消化よりも生存を優先する”という体の本能的な仕組みによるものです。
【肝臓・胆のう】
怒りやイライラと深く関係する臓器。
東洋医学では「肝は気をめぐらせ、胆は決断力と関係する」とされ、怒りを抑え込んでいると肝胆の働きが滞り、消化不良や睡眠の質低下として現れることも。
太陽神経叢を整えることで、感情のデトックスにもつながります。
【すい臓】
血糖値を調整するインスリンの分泌を担う臓器であり、「甘いものがやめられない」といった情緒的な食欲にも関係します。
太陽神経叢の不調やストレス状態が続くと、すい臓の働きに負担がかかりやすく、血糖の乱高下(血糖値スパイク)や疲労感につながることも。
【腸(小腸・大腸)】
腸は「第二の脳」とも呼ばれるほど神経細胞が多く、太陽神経叢との連携も非常に深い場所。
感情やストレスが腸に影響すると、便秘・下痢・腹痛として現れるのも自然な反応です。
また、腸内環境が整うと、太陽神経叢も穏やかに働きやすくなるという双方向の関係があります。
【腎臓・副腎】
副腎はストレスホルモン(コルチゾール)を分泌する臓器で、長期的な緊張や不安が続くと、この場所にも大きな影響が出てきます。
腎・副腎の疲労は、「疲れが抜けない」「やる気が出ない」「朝がつらい」といった症状につながります。
太陽神経叢はただの神経の集まりではなく、私たちの感情・行動・生活習慣の影響を臓器を通して映し出す鏡のような存在とも言えるのです。
だからこそ、「なんとなく不調」「どこかいつも落ち着かない」といったサインを見逃さず、みぞおち周辺=太陽神経叢にやさしく働きかけることで、心身のバランスを取り戻すことができるのです。
呼吸が浅いと、太陽神経叢も緊張する理由
私たちはストレスや不安を感じているとき、「呼吸が浅くなる」という状態に自然と陥ります。
ため息が増えたり、胸だけでハァハァと呼吸してしまったり…無意識のうちに、お腹まで空気が入っていかない浅い呼吸になっていることに気づいたことはありませんか?
この「浅い呼吸」は、太陽神経叢にとっても大きな影響を与えています。
~太陽神経叢は「呼吸の質」と連動している~
太陽神経叢があるみぞおち周辺は、横隔膜に非常に近い位置にあります。
横隔膜は、深い呼吸をするときに大きく上下に動く筋肉で、腹式呼吸のカギとなる部分です。
つまり…
深い呼吸ができていると、横隔膜が大きく動き、みぞおちの奥にある太陽神経叢も心地よい“揺らぎ”の中でほぐれていくのです。
一方、呼吸が浅いと横隔膜の動きが小さくなり、太陽神経叢はまるで緊張の中で固まってしまったように“硬直状態”になります。
呼吸が浅い=交感神経が優位になりやすい
浅い呼吸が続くと、体は「今は危険な状態だ」と判断して交感神経(戦うor逃げる反応)を活性化させます。
そうすると、太陽神経叢からつながっている内臓器官… 特に胃腸の働きが抑制され、消化吸収の機能が低下。
呼吸・消化・免疫・ホルモンバランス…あらゆるシステムが緊張モードに引っ張られてしまうのです。
呼吸を整えることで、太陽神経叢もゆるむ
逆に言えば、「まずは呼吸を深くすること」が、太陽神経叢を整える一番シンプルでパワフルな方法でもあります。
深くゆっくりとした呼吸は、副交感神経を優位にし、みぞおちの奥にある太陽神経叢に“安心していいよ”というサインを送ってくれます。
リラックスした呼吸が戻ってくると、
・お腹のこわばりがゆるむ
・気持ちが落ち着く
・不安や焦りが和らぐ
・内臓が動き出す(お腹が鳴る)
といった変化が自然と起こってきます。
「呼吸の深さ」と「太陽神経叢の緊張」には密接な関係があることが分かります。
だからこそ、忙しい毎日の中でも、「今、自分の呼吸はどうかな?」と立ち止まってみることが、心身をリセットするための大きな一歩になるのです。
香りと呼吸で“わたしの中心”をゆるめる
日々の暮らしの中で、なんとなく息が詰まるような感じがしたり、理由もなくお腹のあたりがギューッと縮こまっているように感じたり。
そんなとき、わたしたちの“中心”
まさに太陽神経叢のあるみぞおち周辺は、心のストレスや不安をそのまま抱え込んでいることがあります。
太陽神経叢は、自律神経のバランスや感情の揺れと非常に深く関わっており、ここが緊張すると、まるで心が凍りついたように“動けなくなる”感覚が生まれやすくなります。
そんなとき、役に立つのが「香り」と「呼吸」です。

香りは太陽神経叢にダイレクトに届く“心のスイッチ”
香りは、五感の中で唯一、脳の「大脳辺縁系(感情や記憶を司る部分)」にダイレクトに届く感覚です。
特に、ラベンダー・スイートマジョラム・ベルガモット・ネロリなどの香りは、緊張した心と身体をふわっとゆるめて、副交感神経を優位にしてくれます。
香りを嗅ぐと、自然と呼吸が深くなることってありますよね。
この「香りを吸い込む」という行為は、実は太陽神経叢に対して“もう安心していいよ”というサインを送っているのです。
呼吸が深まると、“わたしの真ん中”がふわっとゆるむ
香りを使った深い呼吸を繰り返していくうちに、キュッと硬くなっていたみぞおちがふわっとほどけて、「わたしって、こんなに深く息が吸えるんだ」と気づく瞬間があります。
深呼吸によって横隔膜が動き、太陽神経叢が揺さぶられることで、“安心のサイン”が全身に広がり、心も身体もゆっくりと緩み始めるのです。
「わたしの中心」を緩めるアロマレシピ
緊張がみぞおちにたまりやすいタイプの方におすすめのブレンドをご紹介します。
ディフューザーやアロマストーン、マスクの外側、ハンカチなどに垂らして使ってみてください。
安心とぬくもりのブレンド(心のこわばりに)
・ラベンダー:2滴(神経を落ち着かせる)
・スイートマジョラム:1滴(心をゆるめ、緊張をほぐす)
・ベルガモット:1滴(気分の落ち込みにやさしく働きかける)
自分の軸に戻るブレンド(心が揺らぐときに)
・フランキンセンス:1滴(深い呼吸へと導く)
・ネロリ:1滴(自律神経を安定させる)
・ローレル(月桂樹):1滴(勇気と前向きな力を与える)
呼吸とともに流れを整えるブレンド(胸やみぞおちが詰まる感じがするときに)
・ユーカリラディアータ:1滴(呼吸を深める)
・レモン:1滴(明るさと軽さを与える)
・ローマンカモミール:1滴(情緒の安定に)
「ただ香る」「ただ息をする」それだけでいい時間
アロマを炊いて、静かな場所で目を閉じる。
難しいことは考えず、香りを感じながら、ただ呼吸に意識を向ける。
すると、不思議と心が今この瞬間に戻ってきます。
この「今ここ」に戻ってくる感覚こそ、わたしの中心=太陽神経叢を整える時間です。
ぜひ、夜のひとときや朝のリセットタイムに。
自分の「中心」を思いやる時間を、香りと呼吸でつくってみてくださいね。
3分でできる 香り×呼吸のセルフケア
1.手のひらに精油を1滴たらし、両手で包むように温める
2.ゆっくりと香りを吸い込みながら、3回深呼吸 (吸うより「吐くこと」を大切に)
3.そのまま手をみぞおちに当てて、あと数回深く呼吸
「大丈夫だよ」「安心してるよ」と、自分にやさしく声をかけてみてください
香りと呼吸で、“わたし”に戻る時間を
太陽神経叢は、“わたし”という存在の中心。
心がザワザワするときこそ、香りと呼吸でこのエリアにスペースをつくってあげましょう。
1日3分のこの習慣が、自律神経を整え、心と体のつながりを深めてくれます。
最後に…
「呼吸を深めることで、心と体は整っていく」
そんなふうに聞いても、最初はピンと来ないかもしれません。
でも、みぞおちがギュッと固くなるような緊張や不安を感じたとき、わたしたちの呼吸は確かに浅く、早くなっています。
逆に、香りを感じながらゆっくりと深呼吸してみると、不思議と胸の内側やお腹まわりがやわらぎ、ささくれ立っていた心も、すっと落ち着いていくのを感じられます。
これは、太陽神経叢がわたしたちの「心」と「体」のちょうど真ん中にあり、呼吸とつながることでバランスを取り戻してくれているから。
この“中心”を意識して整えていくことで、日々のストレスや不調に振り回されにくくなっていきます。
たった3分でも構いません。
香りを感じながら深く呼吸する時間を、今日の終わりや明日の始まりに取り入れてみてください。
「今ここ」のわたしに戻るための、シンプルでパワフルなセルフケアです。
あなたの心と体の中心が、いつも穏やかでありますように。
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