「逆境に耐える」「苦難の中の力」という花言葉を持つカモミール。
古くから「植物のお医者さん」と呼ばれ、そばに植えられた弱った植物をも元気にするほどの生命力を持っています。
その甘く優しい香りは、私たちが抱える緊張や炎症を、まるでお母さんの手のように包み込んで癒してくれます。
アロマテラピーにおいて最も重要な2種類のカモミール、「ジャーマン」と「ローマン」。
一見似ているこの二つが、実はどのように異なり、私たちの心や体、そして大切な家族であるペットにどのような奇跡をもたらすのか。その深淵なる魅力を紐解いていきましょう。

カモミールの基本データ
カモミールは種類によって、産地から宿しているエネルギーまで明確に分かれています。まずは、それぞれのプロフィールを比較してみましょう。
種類別・詳細データ比較一覧表
| 項目 | カモミール・ジャーマン | カモミール・ローマン |
| 学名 | Matricaria chamomilla | Chamaemelum nobile |
| 科名 | キク科 | キク科 |
| 主な産地 | エジプト、ドイツ、ハンガリー | フランス、イギリス、ベルギー、ハンガリー |
| 抽出部位 | 花頭(乾燥または生) | 花頭 |
| 抽出方法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 |
| 主な成分 | カマズレン、α-ビサボロール | アンゲリカ酸エステル類、ピノカルフォン |
| 精油の色 | 濃厚な深青色(アズールブルー) | 無色〜薄い黄色 |
| ノート | ミドルノート | ミドルノート |
| BF(ブレンドファクター) | 1 | 1 |
| 支配星 | 太陽(Sun) | 月(Moon) |
| タロットカード | 19. 太陽(The Sun) | 2. 女教皇(The High Priestess) |
| 対応チャクラ | 第5(喉)・第3(太陽神経叢) | 第4(ハート)・第2(下腹部) |
【ブレンドの知恵】ブレンドファクター(BF)「1」の魔法
カモミールのBFは「1」です。
これは他の精油と混ぜる際、ごく少量(1滴など)でブレンド全体の質を決定づけるほどパワフルであることを意味します。
贅沢に使いすぎず、一滴の魔法を大切に使いましょう。
このような悩みを持つ方に、カモミールは寄り添います

カモミール・ジャーマンが必要な時
- 「熱」や「赤み」を伴う肌トラブルがある(湿疹、アトピー、火傷、手荒れなど)
- ストレスが胃腸に出やすく、常に胃がムカムカしたり炎症を感じる
- 正義感が強く、理不尽なことに対して「怒り」の熱が冷めず、自分を責めてしまう
- 花粉症などで、鼻や目の粘膜が熱を持って敏感になっている
- 自分の意見を言えずに溜め込み、喉や胸が詰まった感覚がある
カモミール・ローマンが必要な時
- 「考えすぎて眠れない」「夜中に何度も目が覚める」という不眠気味の状態
- HSP気質など、周囲の感情や些細な音、光に過敏に反応して疲弊している
- 生理痛やPMSで、下腹部が重だるく、孤独感や不安を感じやすい
- 「ありのままの自分を認めてほしい」という愛への渇望や、インナーチャイルドの癒しが必要な時
- ショックな出来事があり、心がパニック状態で強張っている
魂の処方箋:神秘学・スピリチュアルから見たカモミール
カモミールは、物理的な癒しを超えて、私たちのエネルギー体に深く干渉します。

① カモミール・ジャーマン:真実を語る「青い光」
- 太陽と自己の本質: 支配星の「太陽」は自己の本質を司ります。ジャーマンは、偽りの自分を演じることで生じるエネルギーの歪みを正します。
- タロット「太陽」: 無邪気な子供のエネルギー。大人の仮面の影に隠れてしまった「本当の自分」を再発見させます。
- 喉と太陽神経叢の解放: 第5チャクラ(喉)の詰まりを解消し、第3チャクラ(太陽神経叢)に蓄積された怒りの熱をアズールブルーの光で冷却。自分の真実を毅然と語る勇気を与えます。
② カモミール・ローマン:内なる神殿へのガイド
- 月と潜在意識: 支配星の「月」は潜在意識の揺りかごです。ローマンは、過去の傷が眠る心の深海を優しく照らします。
- タロット「女教皇」: 内なる叡智を象徴します。外部のノイズを遮断し、魂が本当に望んでいる答えを聞き取るための、深い静寂の結界を張ってくれます。
- ハートと下腹部の慈愛: 第4チャクラ(ハート)に愛を注ぎ、第2チャクラ(下腹部)の感受性を解放。自分を愛し、安心感の中で生きる変容を促します。
太陽神に愛され、逆境に香る「大地のリンゴ」
カモミールは、有史以前から「母なる薬草」として人類のそばに寄り添ってきました。その歴史は、単なる民間療法を超え、神への崇拝と深い結びつきを持っています。
名前の由来:「大地のリンゴ(カマイメロン)」
カモミールの語源は、古代ギリシャ語の「カマイメロン(Chamaimelon)」です。
「カマイ(大地の)」+「メロン(リンゴ)」、すなわち「大地のリンゴ」を意味します。
- 踏まれるほどに香る:
人々がその可憐な花の上を歩くと、まるでリンゴのような甘酸っぱい香りが立ち上ることから名付けられました。
シェイクスピアも『ヘンリー四世』の中で「カモミールは踏まれれば踏まれるほど、よく育つ」と記しており、この植物が持つ「逆境における忍耐と生命力」を象徴しています。
古代エジプト:最高神ラーへの捧げ物
古代エジプトにおいて、カモミール(特にローマン種に近いもの)は、その黄色い花芯が太陽を思わせることから、太陽神ラーに捧げられる最も神聖なハーブの一つでした。
- マラリアの治療薬:
当時、恐れられていた熱病(マラリア)の熱を下げ、震えを鎮める力があるとして、「神草」として崇められました。 - 王のミイラ作り:
ラムセス2世のミイラからもカモミールの花粉が検出されています。
これは、王の魂が死後の世界でも安らぎを得られるように、そして防腐と殺菌の祈りを込めて使われた証拠です。
アングロサクソンの秘儀:「九つの聖なるハーブ」
古英語の医学書『Lacnunga(治療薬)』に残る「九つのハーブの呪文(Nine Herbs Charm)」において、カモミールは毒や感染症、空飛ぶ悪しきもの(病魔)を退ける最も強力なハーブの一つとして数えられています。
- 魔術的な守護:
古代の北欧やゲルマンの人々にとって、カモミールは単なる薬草ではなく、オーディン神の加護を受けた「戦士の傷と魂を癒す魔法の草」でした。
伝承:「植物のお医者さん」
カモミールには、人間だけでなく、植物同士をも癒す不思議な力があると信じられてきました。
- 庭の守護者:
「弱った植物のそばにカモミールを植えると、その植物が元気を取り戻す」という言い伝えから、ヨーロッパの園芸家の間では「植物の医者(Plant’s Physician)」と呼ばれています。
これは、カモミールが周囲の土壌環境を整え、病害虫を防ぐコンパニオンプランツとしての実力を、昔の人々が経験的に知っていたことを示しています。
自分だけでなく、周りも元気にする。まさに「母性のハーブ」です。
文学の世界:ピーターラビットの教訓
イギリスの作家ビアトリクス・ポターの『ピーターラビットのおはなし』には、カモミールの最も有名なエピソードが登場します。
- 興奮を鎮める一杯:
マクレガーさんの畑で怖い思いをし、疲れ果ててお腹を壊したピーターに対し、お母さんウサギは温かいカモミールティーを与えてベッドに寝かせます。
このシーンは、カモミールが古くから「子供の癇癪(かんしゃく)、腹痛、ショック」を優しく鎮める家庭の常備薬であったことを、世界中に印象付けました。
解剖生理学:細胞と脳が「癒し」を感知するメカニズム
消化管の平滑筋へのアプローチ
カモミールに含まれるフラボノイド(アピゲニン)などは、消化管の筋肉である「平滑筋」に作用します。
- 抗痙攣作用: 細胞内へのカルシウムイオンの流入を調節することで、ストレスで過剰に収縮した胃腸の筋肉を緩めます。腹痛や胃の重みを物理的に解消する働きです。

皮膚バリアと「カマズレン」の消火活動
ジャーマンカモミールの「カマズレン」は蒸留過程で生まれる特別な成分です。
- 炎症物質の抑制: 炎症を誘発する物質の合成を阻害し、毛細血管の透過性を抑えることで、肌の赤みや腫れを劇的に鎮静させます。
- 組織再生: ダメージを受けた角質層の修復を早め、健やかな肌への再生をサポートします。
脳・神経系への鎮静ルート

「アンゲリカ酸エステル」などの成分は、嗅覚を通じて脳の中枢神経系に干渉します。
- GABA受容体への結合: 神経の興奮を鎮めるGABA受容体に結合し、心の波立ちを静めます。
- 迷走神経の活性化: 副交感神経の要である「迷走神経」を活性化させ、深い呼吸と強制的なリラックス状態を作り出します。
科学が証明する力:研究データとエビデンス
- 全般不安障害(GAD)への有効性:
ペンシルベニア大学医学部での臨床試験により、カモミール抽出物の投与が不安尺度を有意に減少させることが報告されています。 - 不眠症と睡眠の質:
2017年の研究では、入眠時間の短縮および中途覚醒の減少において、カモミールが高い効果を示すことが実証されました。 - ドイツ・コミッションEの承認:
皮膚・粘膜の炎症、気道の炎症、胃腸の痙攣性疾患に対して、その医学的有効性が正式に承認されています。
自然療法の視点:ペット(犬・猫・小動物)への活用
言葉を持たない動物たちにとって、植物の波動はダイレクトに届きます。
彼らへのケアには、安全性の高い「芳香蒸留水(ハイドロゾル)」が最も適しています。
なぜ安全なのか
カモミールは神経毒性を持つ成分を含まず、細胞膜を荒らさない穏やかな性質を持っています。
特に芳香蒸留水は、成分が微量で水溶性のため、精油の代謝が苦手な猫や小動物の肝臓にも負担をかけず、副作用のリスクを最小限に抑えながら癒しを届けることができます。
【種別・ケアの知恵】
- 猫(Feline):エリザベスカラー後のケア
治療後の過剰なグルーミングに対し、ジャーマンカモミール蒸留水をミスト。
炎症を抑え、拘束によるストレスを解放します。 - 犬(Canine):パニック時のレスキュー
雷や花火の恐怖に対し、ローマンカモミールの蒸留水をスプレーしたタオルで体を包みます。神経の過興奮を速やかに鎮めます。 - シニアペットの終末期ケア:最期の時間を穏やかに過ごすために
ローマンカモミールは死への恐怖を和らげ、魂が安らかに旅立つ準備を助けます。 - 小動物の皮膚トラブル:うさぎ等の足裏の赤み(ソアホック)にジャーマンカモミール蒸留水で湿布を行い、不快感を物理的に取り除きます。
安全に使用するための禁忌・注意事項
- キク科アレルギー: ブタクサ、ヨモギなどにアレルギーがある方は慎重に使用してください。
- 妊娠初期: 通経作用があるため、妊娠初期の使用は控え、安定期以降も専門家に相談してください。
- 動物への注意: 精油原液の塗布は厳禁です。必ず芳香蒸留水を使用してください。
魔法のレシピ:今日からあなたの日常を変える「3つの聖域」
カモミールの力を最大限に引き出し、心・体・魂を一度にトリートメントする特別な活用法をご紹介します。
感情のデトックス:月の光を纏う「ムーンライト・バス」
【おすすめ:心が波立ち、夜が怖いくらい考え込んでしまう時に】
天然塩(大さじ2)に、ローマンカモミールを1〜2滴。
お湯に溶かすと、浴室に広がるのはまるでもぎたてのリンゴのような、瑞々しくも神聖な香り。
- 魔法のポイント: お湯に浸かりながら、胸に手を当てて「私は守られている」と3回唱えてみてください。月の支配を受けるローマンカモミールが、あなたのオーラに付着した日中の不要なエネルギーを洗い流し、深い眠りへと誘う透明な結界を張ってくれます。
細胞の消火器:静寂を運ぶ「アズールブルーのレスキューオイル」
【おすすめ:肌の赤み、止まらない痒み、そして怒りが治まらない時に】
ホホバオイル10mlに、ジャーマンカモミールを1滴。
オイルが深い青色に染まる瞬間、それは「癒しの魔法」が発動する合図です。
- 魔法のポイント: この青い雫は、物理的な皮膚の炎症を鎮めるだけでなく、みぞおち(第3チャクラ)に溜まった「他者への怒り」や「自分への苛立ち」という熱を鎮静させます。
不調を感じる場所に優しく塗布し、その青い光が痛みを吸い取ってくれるイメージを持ってください。
魂の絆:大切な存在と共鳴する「聖なるミスト」
【おすすめ:愛犬・愛猫のパニックや、家族に優しくなれない時に】
ローマンカモミールの芳香蒸留水(ハイドロゾル)を、スプレーボトルに入れ、自分とペットの空間にふわりと一吹き。
- 魔法のポイント: 芳香蒸留水は、植物の「生命の記憶」を宿した特別な水。
これをスプレーすることで、言葉の壁を超え、あなたとペットの波長(バイブレーション)が穏やかにシンクロし始めます。パニックに震える背中を優しく撫でるように、香りのベールが家族全員をひとつの愛で包み込みます。



コメント